池井戸潤『民王』感想&あらすじ【入れ替わりストーリーが面白い!】

新しく首相に抜擢された男は、漢字も読めないポンコツだった?

民王はあの『半沢直樹』シリーズや『下町ロケット』などを手がけた、池井戸潤さんの作品です。
特に半沢直樹シリーズは社会現象にもなったほど、知っている方も多いのではないでしょうか。

そんな池井戸潤作品のなかでも異色を放つのが本作『民王』。

『民王』は首相のまわりで起こる、不可解な現象を描いた痛快コメディー小説です。
そう、コメディーなんです。

池井戸潤さんの作品をよく読んでいる方ならわかると思うのですが、あんまりコメディーなイメージじゃないんですよ。
ちょっと意外ですよね。

ここではそんな「民王」のあらすじ&感想を書いていきますので、気になった方はぜひ参考にしてみて下さい!

ブログ運営者より:
この記事の本文は読書家ライター・タイタンさんに書いて頂きました!

池井戸潤『民王』のあらすじ

民王 (角川文庫)

池井戸潤『民王』のあらすじ①: 首相 武藤泰山

総裁選も終盤、内閣支持率が低迷の中で首相の田辺靖が突然、「おれは辞める」と武藤泰山に切り出します。

以前の首相も任期半ばで辞めていたため「それはまずいのでは」と止める泰山。
しかし田辺の辞める意思は固く、結局押し切られてしまいます。

そこで泰山はある考えが浮かびました。

自分以外にこの田辺政権を継げる者はこの党内に居ない。
だとすれば次期首相は自分になるはずだ。

田辺の辞任により民政党総裁選が行われます。
民政党の頭である城山らの協力を仰ぎ、票を稼いだ泰山は首相を務めることになりました。

池井戸潤『民王』のあらすじ② :入れ替わり

「全身全霊をもって国政を行なっていきます」
所信表明演説を終えた泰山は、首相になった満足感を味わっていました。

泰山は首相になってから、閣僚名簿を自分で読み上げるパフォーマンスを行い人気を得ており、また以前アニメやマンガを肯定する発言をしていたことで、秋葉の若者にも支持者を増やすなど順調に事が運んでいました。

そんな中泰山の盟友である狩谷が、焦った様子である報告をします。
連立を組む民連党の議員である江見が、問題発言をしたとのこと。

泰山はすぐにでも江見に釈明をさせようとします。ですが江見は失言ではなく、これは自分の信念だと釈明に応じません。

その後、江見の更迭から後任人事と慌ただしく過ごした泰山。
寝不足と疲労のなか、国会で憲民党の蔵元から任命責任についての質問の矢面にたっていました。

質問の最中、泰山に空耳が聞こえてきます。
疲労のせいだろうか、そう思っていたのも束の間。

次の瞬間、泰山の目の前には六本木のクラブが広がっていました。

池井戸潤『民王』のあらすじ③ :漢字の読めない総理

一方で……。
泰山の息子である翔は突如として眼前に広がる国会の様子に驚いていました。
隣では狩谷が心配そうに、翔に向かって呼びかけます。

泰さん、どうしたんですか。大丈夫ですか。

国会を他のものに任せ、狩谷に連れられて家に帰った翔は、鏡に映った自分が父の泰山の姿をしている事に驚愕します。

その後、翔はクラブから帰って来た翔の姿をした泰山と会い、体が入れ替わっている事を知りました。
ひとまず狩谷や秘書の貝原に事情を説明し、翔は泰山として、泰山は翔として過ごすことに。

次の日に翔は、泰山の代わりに国会で答弁に立っていました。
事前に貝原が用意した原稿を、翔は読み上げていきます。

「我が国はアメリカ発の金融キキンによる、ミゾユーの危機にジカメンしており__」

これ以上はネタバレになりますので、続きはぜひ本を手にとって確認してみて下さい!

池井戸潤『民王』のススメ!

ここからは僕が考える民王の魅力を紹介していきます!

  • 痛快な泰山の論破劇!
  • 日本社会の今に切り込むストーリー

池井戸潤『民王』のススメ①:痛快な泰山の論破劇!

池井戸潤作品の中では珍しくコメディー色の強い本作。
ですがやはり池井戸潤作品。その色はきちんと出ていました。

物語で泰山は、翔の代わりに就職活動に勤しむ事になります。
そこで出てくる面接官が嫌なやつばっかなんですよね。

面接始めにいきなり成績が悪い学生呼ばわりしてきたり、やたらと偉そうだったり。
実際に居そうなのがまた嫌なんですよ。

そんな面接官を相手取り、泰山が正論で叩きのめす様はまさに痛快の一言。

ただし就活は蹴られてばかりになってしまうんですけど、、、

池井戸潤『民王』のススメ②:日本社会に切り込むストーリー

本作の物語では、現代の社会に対する問題提起ともとれる場面が多くあります。

それは日本のマスコミの性質についてであったり、問題を起こした議員の責任ばかりを論議する国会であったり。

そしてそこに泰山として身を投じる翔の言動は、首相としてはあまり良いと言えるものではありませんでした。
しかしその主張は正しくもありました。

そんな翔に触れた泰山は、自分が目指していた政治家とはなんだったのかを思い出し、ある行動を起こします。
その行動についてきたのは少し暖かいものでした。

民の王とはなんたるか、泰山の首相としての決意は、いつも何かを頑張る私たちの一歩を支えてくれるものとなるでしょう。

池井戸潤「民王」の感想

ちょっとお恥ずかしい話、僕自身あまり政治とか社会問題に興味がなかったりしました。
それだから、「民王」を通じて日本の問題について考えさせられ、“とりあえず選挙は行こう”なんていうちっさい決意をしました。

そしてそんなちっさい決意を積み重ねて、いつか大きいことが出来たらな、なんて考えてます。笑

本作はドラマ化もされていますが、ドラマ版はキャラ設定などかなりアレンジが加えられています。

違った雰囲気を楽しめると思いますので、ドラマしか知らない方もぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

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