私を「歴史好き」に変えてくれた司馬遼太郎。
数々の作品の中から選ぶ”超個人的”おすすめランキング5選です。
1981年。小学生だった私は1つの時代劇を食い入るように見ていました。
話しの内容も筋も判らず、ただ画面の中の甲冑武者達の迫力に押され、その中でも特に異彩を放つ白覆面の大谷吉継に目を奪われていました。
ドラマの名前は「関ヶ原」。
後年知ったのですが、日本を代表する俳優陣総出演のドラマだったそうです。
時が経ち、大人になった私はある日ふと「関ヶ原って原作の小説があるんだったな」と思い立ち、手に取ってみました。
仰天しました。
軽妙で読みやすい文章。ドラマを凌駕する迫力ある描写。心の深淵を覗くような台詞。
一遍で虜になった私は司馬作品を買い集め、読み漁りました。
二度、仰天です。
どの作品もとにかく読みやすい物ばかり。
文章を目で追うだけで場面場面を鮮やかに脳裏に描ける、恐ろしいほどの表現力。
「こんな歴史小説を書く人が居たのか…」
歴史好きという訳でも無かった私でしたが、あっという間に司馬作品の虜になってしまいました。
皆さんにも司馬遼太郎の世界に飛び込んでいただければ幸いです。
司馬遼太郎おすすめランキング第5位『項羽と劉邦』
-あらすじ-
史上初めて中国大陸を統一し、巨大帝国を作り上げた秦の始皇帝。一代の英雄である始皇帝も老いには勝てずこの世を去ります。始皇帝が没すると、苛烈な行使に悩まされていた農民達は各地で一斉に蜂起します。沛の住人・劉邦と楚の住人・項羽もこれに加わり、ついに秦を打ち倒す事に成功します。つかの間の平和を享受する人々でしたが、両雄並び立たず。劉邦と項羽はやがて、始皇帝が成し遂げた「天下統一」を夢見て、血で血を洗う戦いに戦いに入っていくようになります。
-説明・感想-
数多ある中国の歴史書の中でも「漢書」と並んで最高の評価を得ている「史記」。その史記に書かれている秦末から漢帝国樹立までを描いた物語です。項羽と劉邦の戦いは「楚漢戦争」とも呼ばれ、この戦いの中から現在でも我々が日常的に使っている熟語・名言が数多く生まれています。「先んずれば人を制す」「匹夫の勇」「背水の陣」「四面楚歌」。数え上げれば切りがありません。現代にまで残る言葉をこれだけ残した二人の英雄の壮大なストーリー、面白くないはずがありません。
司馬遼太郎おすすめランキング第4位『夏草の賦』
-あらすじ-
時は戦国。「鬼国」と呼ばれた僻遠の地、土佐に生まれた長曾我部元親。田舎の小領主ですが、土佐統一の夢を持ち、中央で台頭してきた織田信長と結びます。権謀術数の限りを尽くして土佐を統一した元親は新たな目標、四国統一に向けて破竹の勢いで軍を進めます。が、四国統一を目前にした元親の前に天下の帰趨を握った信長が立ちはだかります。四国統一を諦めて土佐一国に戻れと命令してくる信長。元親は激怒し、天下の軍を相手に戦う事を選択します。
-説明・感想-
「姫若子(少女のような男の子)」と呼ばれた少年が、長じては「鬼若子」「土佐の出来人」と呼ばれるようになり、幼少時からは想像もつかないような鬼謀を発揮して土佐、やがては四国を統一していく一代記。わずか数郡しか領地を持っていない田舎の小領主が破竹の勢いで軍を進め、やがて中央に勃興した天下人、織田信長や豊臣秀吉と対峙していく様が生き生きと描かれており、「長曾我部」という全国的には無名だった「田舎大名」を一躍メジャーな存在に押し上げた作品です。
司馬遼太郎おすすめランキング第3位『坂の上の雲』
-あらすじ-
極東に産声を上げた小さな島国・日本。近代国家として生まれ変わった国・日本は帝国主義が吹き荒れる世界という大海原に船を漕ぎ出していきます。「国家の興亡」をその背に背負うという気概をもって生きる秋山好古・真之の兄弟、俳句短歌と言った伝統文芸の復活に生涯を捧げた正岡子規、三人の若者を中心に物語は進んでいきます。やがて日本は日清・日露という二つの大戦を経験。若者達はその時代の中を「上っていく坂の上に輝く一朶の白い雲」だけを見つめて、歩みを進めて行くのでした。
-説明・感想-
プレジデント誌が企画した「経営者が選ぶ司馬遼太郎作品ランキング」では堂々の1位を獲得している作品です。生まれたばかりの小さな国・日本がどのようにして清やロシアといった強大な帝国に抗えるような国家を作っていったのか。それはあたかも新興の小さな会社が爪に火を灯すような努力を重ねて大会社に立ち向かう姿のようで、そのあたりが経営者の支持を得たのでは無いでしょうか。経営者ならずとも「さぁこれからだ!」と人生の希望に燃える若い人達に是非とも読んで貰いたい作品です。
『坂の上の雲』は別記事でも詳しく紹介しています▼
今回ご紹介するのは司馬遼太郎氏による不朽の名作『坂の上の雲』です。 「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている」 極東の小さな島国で産声をあげた日本という国家が、列強に学びながら日清・日露という二つの大戦を乗り越えて成長していく明[…]
司馬遼太郎おすすめランキング第2位『関ヶ原』
-あらすじ-
長く続いた戦乱の世に終止符を打ち、天下人として君臨した豊臣秀吉。その後継者・秀頼はまだ幼く、各地の諸大名は「再び世は乱れる」と見ていました。五大老の筆頭・徳川家康はこれまで豊臣政権の中枢であり「温厚な徳人」として知られてきましたが、秀吉の死の直後から天下簒奪の野心を露わにし出します。「ようやく機が巡ってきた」とばかりに策動を始める家康。諸大名が家康に擦り寄るなか、「そうはさせぬ」と石田三成が立ち上がります。家康の天下への野心が勝つか、三成の不正を許さぬ思いが勝つか。日本を二分した大戦さが始まります。
-説明・感想-
秀吉という巨大な重しが取れた瞬間、次代を睨んで動き出す大名達の人間模様。御家を守る事に賭ける者、己の誇りを守る為に戦う者、二度と戦乱の世に戻らない天下を守りたい者。それぞれの立場を守り抜く為あらゆる知恵を絞る、その表現に唸ります。後半の関ヶ原での戦いの描写はもう「見事」の一言、圧倒的な臨場感で迫ります。冒頭でも触れた大谷吉継、歴史好きの間で高い人気を誇る「名将」ですが、その吉継人気を決定づけた作品と言っても良いでしょう。ちなみに私もこの小説で一遍にファンになり、関ヶ原の大谷吉継のお墓まで墓参に行った事があります。
司馬遼太郎おすすめランキング第1位『燃えよ剣』
-あらすじ-
武侠を誇る天領の地、武州多摩。ここで生まれた百姓の息子・歳三は「いつかは武士になる」という夢を持ち、仲間と共に剣術修行と喧嘩に明け暮れてました。ある日仲間が持って帰った耳寄りな知らせに「武士になれる」と飛びつき、京へと上る歳三と仲間達。壬生狼と蔑まれながらも、己の信念と剣だけをひたすら信じ、戦いに明け暮れる日々が始まります。大政奉還という驚天動地の出来事が起き、天下の趨勢が不利になっても最後まで「喧嘩師」で有り続けようと戦い続ける歳三。その歳三に待ち受ける未来はどんなものなのでしょうか。
-説明・感想-
ハンサムで、剣が強くて、一本気。世の中にこれほど格好良い男がいるだろうかと思わせてくれる土方歳三の魅力を余すところなく伝えてくれる、正に「傑作」です。司馬遼太郎自身も「一番好きな(自分の)作品は“空海の風景”と“燃えよ剣”」と語っています。「燃えよ剣」の中で、歳三が「刀は人を斬る為だけに作られている。単純だからこそ美しい」という場面があります。その言葉どおり、「戦う」という単純極まりない目標の為だけに命を燃やした歳三の美しき物語。もはや説明すら不要なこの一冊、是非お手に取ってみて下さい!
『燃えよ剣』は別記事でも詳しく紹介しています▼
日本を代表する小説家、司馬遼太郎氏。 彼が書いた小説ランキングで必ずと言っていいほど上位にランキングされる不朽の名作、『竜馬がゆく』が今回ご紹介する小説です。 本作を読んだ小説好きで「つまらない」という感想を述べた人間を、私は1人も知り[…]
司馬遼太郎超個人的ランキング5選。いかがだったでしょうか?
1959年に「梟の城」で小説家としてデビューし、1996年に絶筆となった「街道をゆく 濃尾参州記」まで37年。
司馬遼太郎が残した業績はあまりにも偉大です。
坂本竜馬。土方歳三。大谷吉継。現在我々がこれらの歴史上の人物に対して持っているイメージの殆どは司馬遼太郎が作り上げたと言っても過言ではありません。
これほどまでに「国民的作家」になっても、司馬遼太郎は「小説」に拘ってました。
「そもそも小説を芸術と言えるのか」という言葉も残しています。
司馬遼太郎はあくまで「小説」を書こうとし、だからこそフィクションとノンフィクションが絶妙に入り混じる数多の作品を書けたのだと思います。
司馬作品はノンフィクションであると思われがちですが、フィクションの部分も相当あります。
ですが、それで良いと私は思います。小説なんですから。エンターテイメントなんですから。
司馬小説というこの極上のエンターテイメント、貴方も是非お手に取ってみてはいかがでしょうか?
お手に取ったその日から、貴方も歴史という遥かな世界に魅了される事、間違いなしです。