湊かなえ『告白』のあらすじ&感想【現実味あふれるミステリー】

今回は湊かなえの代表作「告白」のご紹介です。

2010年に、松たか子さん主演で映画化されたことでご存じの方も多いのではないでしょうか。
私も、少し前に映画を観ましたが松たか子さんの怪演が恐ろしくて鳥肌が立ちました。
娘役の芦田愛菜ちゃんもとってもキュートで素晴らしかったです。

そんな、映画でもさらに有名になったミステリー小説「告白」。
何よりも驚きなのは、これが湊かなえのデビュー作だということです。
そしてさらに、第6回本屋大賞を受賞。
デビュー作でのノミネート・受賞はともに史上初だそうです!

「告白」は、「イヤミスの女王」といわれている湊かなえのデビュー作にして真骨頂ともいえる作品です。

物語がすすみ、話の視点が変わっていくごとに、ある事件に隠された嘘と真実が少しずつ暴かれていく展開に読んでいてページをめくる手が止まりません!

それでは、まずあらすじから紹介していきます。

ブログ運営者より:
この記事の本文は読書家ライター・wpgm_asさんに書いて頂きました!

湊かなえ『告白』のあらすじ

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

『告白』のあらすじ①:始まりは女性教師の”告白”

何気ない中学校のホームルーム。

物語は、愛する娘を校内で亡くした中学校の女性教師・森口悠子による告白で幕を開けます。

森口は生徒たちに教師を辞めることと、ある事件の話をします。
彼女には、4歳になる娘・愛美がいました。
シングルマザーであるため、普段は学校のプールの裏手に住む人に預かってもらっていたのですが、その人が入院することになり、どうしても仕事が遅くなる日は愛美を学校の保健室で待たせることにしていました。

しかし、ある日、愛美がプールで亡くなっているところが発見されます。
愛美は、当初は事故死と扱われましたが、森口は生徒の前ではっきりとこう告げました。

「事故死ではない。このクラスの生徒に殺された」

ラウ・グリフィス
教師の語りから”生徒に殺された”……。
衝撃的な始まりね。

『告白』のあらすじ②:語られた容疑者たち

森口は、ある二人の生徒を犯人A・Bと呼び、二人の特徴や行動をくわしく話し始めたため、名前こそ明かされなかったものの生徒たちにとってそれが誰かは明らかでした。

少年Bは、成績優秀でクラスでも特に目立たない生徒。
しかし、少年Aは自分の怪しいサイトで、自作の道具で犬や猫を殺した動画をあげ、危険人物として周りから注目されたい、俗にいうサイコパスと呼ばれる一面を持つ生徒でした。

また、愛美の父親であり森口の婚約者であった桜宮という男は、HIVに感染していました。

そして、それらの告白の最後、驚愕のことを生徒たちに告げ、それ以来、森口は生徒の前から姿を消します。

ドルフ
これを聞く限り、単純に考えれば生徒Aが怪しいが果たして……。
父親の存在も気がかりな上、森口教諭の言動行動の意図も謎だ。

『告白』のあらすじ③:物語はどこへ向かうのか…?

森口の告白をきっかけに、次々と起こる復讐の連鎖。

生徒たちや、周りの人をどんどん巻き込みながら悲劇はすすみ、精神的に追い込まれ、物語は次第に壊れてゆき、衝撃のラストへと向かっていきます。

愛する娘を殺された女性教師の、本当の復讐とは何だったのか。
また、教師という立場から生徒たちに伝えたい想いは何だったのか。

クライマックスはあまりにも衝撃で、当時さまざまな議論が交わされ、物議を醸しました。

ドルフ
何か隠されたものがありそうな予感だ。
ラウ・グリフィス
色んな要素があってクライマックスが楽しみね。
 

湊かなえ『告白』はココがおすすめ!

※画像はイメージです

  1. 現実味のある悲劇
  2. どこか共感してしまうキャラ設定

①現実味のある悲劇

ホームルームでの告白を最後に辞職した森口の代わりにやってきたのは、何も知らない新任教師の寺田良輝ことウェルテルでした。映画では、岡田将生さんが演じていましたね。

この教師、やる気はもう充分にあるのですが、その熱血ぶりが仇となり、空気は読めず、生徒の感情にも鈍感で、単純です。

いじめを受け、登校拒否となった少年Bに向けて生徒たちに「寄せ書きをしよう」と提案したり、頻繁に家庭訪問に押しかけたり…。

ウェルテルの善意のせいで、少年Bは完全に精神を病み、ふさぎ込んでしまいます。

熱すぎてどこかから回っている新任教師。
読んでいて、とてももどかしいですが、憎み切れない部分があり、ウェルテルは現実にもたくさんいるなと感じました。

皆さんの学生時代、思い当たる人も多いのではないでしょうか。

もうひとつは、家庭環境の闇です。
少年Aの母親は、息子に理想を求め、知らず知らずのうちに息子を追い込んでしまいます。
一方、少年Bの母親はとっても過保護。

結果的に、どちらも違ったかたちの悲劇を生み出してしまいます。

他にも、引きこもりや、教室という名の同調圧力。
あくまでフィクションですが、現実世界でもすぐそこで起きていそうな話であるからこそ、リアルな恐怖を感じ、心がえぐられます。

②どこか共感してしまうキャラ設定

森口に犯人だといわれた少年Bは、本当にごく普通の気弱な少年です。

母親に甘やかされ、ぬくぬくと育ったからこそ、「殺人」という大きな罪に対して、どうにかして目を背けて逃げようとします。

私は、読んでいる時、少年Bに対して、どこか憤りを覚えていました。

真実はどうあれ、殺人に関わった可能性があるのなら、しっかりと向き合って罪を償うべきではないか。目を背けることは卑怯だ、と。

しかし、私たちに一番近い感覚なのは、残虐な少年Aや過激ないじめを繰り返す生徒たちではなく、この普通の一般的な気弱な少年Bではないのかなと思いました。

とても弱いからこそ卑怯で臆病で、だけど皮肉なことに、この普通すぎる感覚は私たち読者にまるで自分の身に迫ってくるような不気味な恐怖を味わわせます。

また、読み終わったときに、「復讐」というかたちで子どもである生徒に罰を下そうとする大人・森口悠子に対して、少しやりすぎではないのかと感じてしまいましたが、自分の大切な人を殺されたと考えると、手に取るように気持ちがわかり、共感できる自分が少し恐ろしく感じてしまいます。

「告白」に登場するキャラクターは、自分がいる世界とは遠く離れた存在のように見えて、実は一歩間違えると、自分でも十分にあり得るのではないかという、絶妙にリアルなキャラ設定にも心が掴まれました。

おわりに:湊かなえ『告白』の感想

「告白」は、どんどん暗くなっていく展開にハラハラドキドキしますが、最後まで読んだあとで、思わずもう一度初めからページを開いてしまうような魅力があります。

内容は、重めの作品ではありますが、物語に込められた現代にはびこる社会問題や、家庭問題など、いろいろなことを深く深く考えることができるお話です。

また、章のタイトルが「聖職者」「殉教者」「慈愛者」などと、キリスト教に関連するタイトルがつけられていたり、登場人物の思わずハッとしてしまうようなセリフの数々であったりと表現がとても美しく洗練されています。

湊かなえの作品は、フィクションだと分かっていながらも、どこか現実味を帯びている、そんなリアリティー溢れる作品であるところに魅力があり、「告白」は特にこの要素が強いと感じます。

気になっているけれどまだ読んだことがない人、映画は見たけれど原作は読んでいない人、ミステリー小説が好きな人。
1ページ目を読むだけで、物語の世界に引き込まれること間違いなしです!

ラウ・グリフィス
”深く考えさられる物語”か。
興味深いわね。私も読んでみることにするわ。
ドルフ
……グリフィス嬢は感覚で生きていそうな印象だが、そういう方面の書物も好きなのだな。
ラウ・グリフィス
失礼ね、人の内面的な部分にはスゴく興味あるわ。

『告白』。ぜひ、みんなも読んでみて。
人生観が変わるかもしれないわ。

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