伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』感想&あらすじ【5股男の運命は…】

5人の女性と付き合っていた男は、“あのバス”に乗る前に女性たちに別れを告げに行った。

『バイバイ、ブラックバード』は、借金のために“あのバス”に乗せられる事になった男が、監視役の怪物のような女と共に付き合っていた女性たちに別れを告げにいく物語です。

ロープ一本でデパートに侵入しようとする怪盗女や、人の車を奪って犯人を追う映画顔負けの刑事、そして乗ったら2度と人として戻って来れない“あのバス”
伊坂幸太郎さんが描く本作は、個性溢れる登場人物たちと、それを取り巻くちょっと奇妙な世界観が魅了的な作品となっています。

ここではそんな本作をあらすじと感想を合わせて書いていきますので、ぜひ参考にしてみて下さい!

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この記事の本文は読書家ライター・タイタンさんに書いて頂きました!

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』のあらすじ

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伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』のあらすじ①: いちご狩り

鹿狩りやブドウ狩りなら分かる、でも紅葉狩りは見るだけなのになぜ“狩り”なのかわからない。

廣瀬あかりはその日会ったばかりの男性、星野一彦とバーの個室で談笑していました。

7時間前、廣瀬あかりはいちご狩りに1人で来ていました。天気も良かったためか人が多く、苺のビニールハウスの入り口には順番待ちの列が出来ていました。

その列の先頭でスーツを着た男、星野一彦が制限時間付きなんてと農園のおばさんに文句を垂れています。
確かに30分は短いかもと廣瀬あかりも内心同意していました。

ですが10分もしないうちにその思いも消え、苺にげんなりしてしまいます。
すぐ正面には同じく苺にげんなりしている様子の星野一彦がいました。

30分って長いですね、あとでおばさんに謝らないと。
そう言う星野一彦に、廣瀬あかりは1人スーツでいちご狩りに来ている理由を訊ねます。

星野一彦は、彼女にデートをドタキャンされ、唐突にいちご狩りを思いたったと話し始めました。

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』のあらすじ② :星野一彦の結婚相手

あれも嘘だったのか、廣瀬あかりはそう星野一彦を詰っていました。

2ヶ月ぶりに連絡してきた星野一彦は、横にいる繭美と結婚するから別れてくれと告げてきました。
身長190cm、体重200kgだと語る繭美は、ブランドものの黒い服に身を包んだブロンド髪の巨大な女性でした。

そんな繭実は態度もでかく、「同情するよ、不倫地獄から抜けでたと思ったら、こんどは星野ちゃんをわたしみたいなのに掠め取られて」と廣瀬あかりを煽ります。

星野一彦は繭美に不倫の話をしたことはありません。ですが繭美は知っていました。星野一彦が5人の女性と付き合っていることも。
それどころか、知人友人などについても事細かに知っていました。

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』のあらすじ③: 最後の願い

以前、星野一彦は知らない間に恐ろしい人の怒りを買い、あのバスで連れていかれることが決まっていました。
そして繭美はあのバスが来るまでの2週間、星野一彦が逃げないようにするための監視として付けられます。

また、借金を返すアテがないかを、繭美の仲間に隅々まで調べ上げられていました。
そんな中、繭美に星野一彦はある頼み事をします。

今付き合っている女性たちに別れを告げさせてほしい。

それは幼い頃に買い物に出掛けた母が、事故に巻き込まれて帰って来なかった経験から“待つことの辛さ”を知っていたための願いでした。

当初面倒だと断った繭美でしたが、5股男のお別れ行脚に興味を持った、繭美の仲間が許可を出します。
自分の言動に口を挟まないことを条件に、繭美はしぶしぶお別れ行脚に付き合う事になりました。

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』のあらすじ④ :別れをかけたラーメン

「星野ちゃんより、不倫相手だった妻子ある金持ちの方がマシじゃないのか」

時は戻り現在、怒りで顔を赤くし星野一彦と繭美をにらむ廣瀬あかりに、なおも煽る繭美。

繭美は黒いバックからある紙を取り出しました。「これをこの男が達成したら別れろ」
紙は近所のラーメン屋のキャンペーンのチラシでした。それは30分で大盛りラーメンを食べ切れたら無料というもの。

困惑する廣瀬あかりをよそに、半ば強引にその賭けは始まってしまいます。

これ以上はネタバレになりますので、続きはぜひ本を手にとって確かめてみて下さい!

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』のススメ!

ここでは、僕が思うバイバイ、ブラックバードの魅力についてご紹介していきます。

  • 星野一彦と女性たちのエピソード
  • 強烈個性の繭美

『バイバイ、ブラックバード』のススメ①:星野一彦と女性たちのエピソード

星野一彦は5人の女性にそれぞれ別れを告げる事になります。そして別れがあればそれぞれに出会いもあるわけで。
その出会い方と別れ方が個性的でまた面白いんですよ!伊坂ワールド全開で。

あらすじで触れた廣瀬あかりはいちご狩りから、他にも刑事に車をとられて呆けていたところに出会ったり。

星野一彦もかなり変なやつでして、別れた彼女の父親が病院の先生をしており、その先生に殺されると怯えていたり。
まあ5股もする人が変じゃないわけがないんですけども。

とにかく、僕たちが普段考えているようなシチュエーションを覆してきます。
伊坂さんならではの、このちょっと不思議な感じ良いんですよね。

『バイバイ、ブラックバード』のススメ②:強烈個性の繭美

星野一彦の監視役の繭美は、ただでさえ個性的な本作のキャラクターたちの中でも、抜きん出て個性的です。
そして彼女は、本作の中で僕が一番好きな人物でもあります。

身長190cm、体重200kg、色白でブロンドの色の髪で、顔は整っている。いつもバレンシアガというブランドのスーツを身につけており、自称ハーフだが日本語しか話せない。何故かいつもよれよれの辞書を持っており、自分に合わない言葉をペンで塗りつぶしていたり。

上げ出せばキリがないほどに、個性が渋滞を起こしている人物です。

またかなり横暴な性格で、口を開けば皮肉や悪口ばかり出てくる捻くれものです。
ですが星野一彦の頼みでサンタクロースの真似事をしたりなど、優しい?一面も覗かせます。

物語の終盤、あのバスに連れて行かれる直前に、星野一彦はまたしてもある頼み事を彼女にします。
そこで彼女がとった行動を目にする時に、あなたもきっと、繭美を少し愛おしく思ってしまうのではないでしょうか。

伊坂幸太郎『バイバイ、ブラックバード』の感想

伊坂幸太郎さんの作品の中では個人的に一番好きなこの本作。
なんだかんだ優しいツンデレの繭美がお気に入りでして。

伊坂さんのこの、日常のなかに非日常が混ざる不思議な感じの作風、良いですよね。

バイバイ、ブラックバードはテレビドラマ化もされています。気になった方はそちらもぜひチェックしてみて下さい!

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