『化物語』や『刀語』、『掟上今日子の備忘録』など挙げ出せば切りがない数の小説を世に送り出し続けている西尾維新先生。
そんな西尾先生のデビュー作を皆さんご存じでしょうか?
それは今回ご紹介する『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』です。
ジャンル分けすればミステリー小説なのですが、西尾節とも言える”言葉遊び”や”個性的なキャラによる台詞回し”はデビュー当初から際立っています。
この記事ではネタバレなしで『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』のあらすじや感想をお伝えしようと思うので、気になった人はぜひ一度読んでみて下さい!
西尾維新先生はデビュー作となった『クビキリサイクル』を大学在学中に執筆
西尾先生は『クビキリサイクル』を大学在学中に書き、新人賞に受賞してデビューしました。
当時から言葉遊びを多用する独自の文体が特徴的で、読んでいると「練りに練って書いているのかな?」と思わされるの文章なのですが、実は西尾先生は速筆でも有名で、新人賞応募時代には一度の賞に複数作応募するなどその片鱗をすでに見せていたようです。
『クビキリサイクル』は『戯言シリーズ』と呼ばれるシリーズものの1作目となるわけですが、とてもデビュー作とは思えない完成度の小説です…!
ちょっとクセがあるので、もしかしたら受け付けない人もいるかもしれませんが、一度ハマればその世界観から抜け出せなくなること間違いありません。

大成したのも頷けるというものだ。
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』のあらすじ
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』はこんな物語!
そこで奇妙な状態で発見された”死体”。
天才の一人の付き添いとして居合わせた青年は、
解決困難な殺人事件の推理へ挑む。
彼女の趣味は”天才たちを招いて交流すること”です。
- 天才技術屋
- 天才占術師
- 天才画家
- 天才学者
- 天才料理人
ちなみに全員女性。
(島には彼女たち以外にも、島の主であるお嬢様やそのメイドたちもいます)
天才ということもあるのでしょう。
招かれている5人は全員が個性の塊です。
反りが合わず意見がぶつかることもしばしば。
彼女たちの会話や思考回路は読んでいるだけでも興味深く、まさに作家・西尾維新の真骨頂といった様子です。
一方の語り部(主人公)の青年はというと…
こちらは”自称”一般人です。
思考や言動行動を見るに彼もまた異質ではありますが、5人の天才と比べると際だった特技がないのも事実。
彼は招かれた天才の一人である少女の付き添いとして島にやってきています。
少女の世話をやきながら、他の天才たちとも交流していく青年でしたが、何と殺人事件と遭遇してしまいます。
自殺ではなく他殺と確信できる状態で見つかった彼女……。
絶海の孤島での出来事ゆえに容疑者は絞られています。
果たして誰が犯人なのか?
そしてなぜ、あんな形で殺害に及んだのか?
極上の「ミステリー×キャラクター小説」となっています。

……そういえば私も”銃撃の天才”なんてよく言われるけど、性格は普通だよね?

俺にとって、お前は可愛い娘だ。

『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』の主要キャラクター
今回は主人公とヒロイン(?)の二人をご紹介しておきます。
【戯言だよな……】ぼく
※画像はイメージです
本作の語り部。通称”ぼく”。
なんと本名は明かされていない。
玖渚(後述)には「いーちゃん」というニックネームで呼ばれている。
「戯言遣い」の通り名を有し、文字通り戯言(たわむれの言葉)を使いこなす。
作品を通して”ぼく”の主観で物語は進んでいくため、読者は”戯言”もとい”言葉遊び”を終始楽しむことができます。
思慮深い性格と思いきや、突然考えなしの行動をする。
心の声を読んでいるのに、どこまで本心か読者は測れない。
冷淡と思いきや、ときに人情深い言動や気遣いをする。
……掴み所がない、という言葉がしっくりくる青年。
【絵に描いたような天才】玖渚友
※画像はイメージです
玖渚友。幼く見えるが”ぼく”とは同い年。
蒼色の髪をした天真爛漫な少女。天才。
天才らしい自由で奔放な性格をしている。
他者のことにあまり興味がない様子だが、”ぼく”のことは「いーちゃん」と呼んでずいぶんと気に入っている様子。
常に”ぼく”に懐いているが、その関係性はどこか歪で……?
『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』の魅力
- 個性的なキャラクターたち。
- 言葉遊び満載の台詞回し。
- ミステリー要素もきっちりあります。
- ”ぼく”の独特な”語り”が最高に興味深い。
個性的なキャラクターたち。
西尾先生のつくるキャラクターは本当に個性的です。
一見すると特徴が薄く見える主人公”ぼく”も読み進めるほどに味わいが出てきます。
奔放な天才・玖渚は言うまでもありませんし、他にも常に上から目線で悪口を言い続ける天才女性や、三つ子のメイドなど登場する人物はことごとくキャラ起ちしています。
ミステリー要素を別にしても「キャラクター小説」として十二分に楽しめる作品です。

……ずいぶんと賑やかそうだ。
言葉遊び満載の台詞回し。
どのキャラクターも個性的ゆえ、その言動や言葉選びも極めて特徴があります。
個性が合わさったり、ときにはぶつかることで面白い掛け合いが生まれたり、それによって物語が進行したりします。
一見すると冗長というか、物語の進行に関係ないような台詞の応酬もみられますが、やはりこれこそ西尾作品の魅力。
『クビキリサイクル』も例に漏れず、言葉遊びの世界を堪能できますよ!

ミステリー要素もきっちりあります。
『クビキリサイクル』はキャラクター小説の要素も強く、キャラクターたちを楽しむのも醍醐味ですが、もちろんミステリーの要素もばっちりです。
絶海の孤島で起きた殺人事件……。
キャラクターたちが個性的ゆえに、彼女たちを相手取る”ぼく”の推理や捜査も見物です。

私はそういうの苦手だからドルフにまかせるよ。
”ぼく”の独特な”語り”が最高に興味深い。
主人公の”ぼく”は「戯言遣い」と評されるほど言葉遊びが秀逸なので、彼の主観で描写される『クビキリサイクル』では、最初から最後までずっと言葉の世界に浸ることができるんです。
西尾維新先生の原点であり、真骨頂でもある言葉遊び満載の物語をぜひお楽しみ下さい。

気に入った場合は2作目以降の楽しみも増えることになる。
おわりに:『青色サヴァンと戯言遣い 青色サヴァンと戯言遣い』の感想
西尾維新先生の代表作というと、やはり『化物語シリーズ』が筆頭だと思います。
こちらはアニメも大ヒットしていますしね……。
ただ僕個人としては『クビキリサイクル』を皮切りに始まった『戯言シリーズ』が一番好きなんです。
自分が大学生の頃に夢中になって読んだからというのもありますが、デビュー作とは思えないクオリティで、何より作者のこだわりや個性が見える傑作だと心底思うわけです。
”ぼく”の主観で見る世界。
”ぼく”の性格を掴みきるのが難しいから、どこか落ち着かなくて、それでも考えさせられる”戯言”も多くて……。
そして最終的には、心動かせられる熱い何かを感じる不思議な作品です。
一度ハマればシリーズを通して読みたくなること必至の『クビキリサイクル』。
まだ読んでないという人はぜひお試し下さい!