又吉直樹『火花』のあらすじ&感想【芥川賞受賞作!】

お笑いコンビ「ピース」で活動中の又吉直樹先生。

そんな又吉直樹先生のデビュー小説をご存じでしょうか?
それは今回ご紹介する『火花』です。

『火花』は売れない芸人のお話です。
お笑い芸人として下積み時代を生き抜いてきた又吉直樹先生だからこそ生み出すことができるお笑いの世界の物語は、圧巻の出来です。

芥川賞を受賞し、世間的にも大変注目を受けた傑作と言えます。

この記事ではネタバレなしで『火花』のあらすじや感想をお伝えしようと思うので、気になった人はぜひ一度読んでみてください!

ブログ運営者より:
この記事の本文は読書家ライター・オオサキさんに書いて頂きました!

又吉直樹『火花』のあらすじ

火花 (文春文庫)

  1. 徳永と神谷の出会い
  2. 売れない芸人
  3. 「スパークス」の漫才

又吉直樹『火花』のあらすじ①:徳永と神谷の出会い

売れないお笑いコンビ「スパークス」の徳永は、花火大会で漫才を披露していました。
通行人は、驚くほど漫才に興味は無く、花火を夢中で見上げている…。

そんな状況の中、先輩お笑いコンビ「あほんだら」の神谷は叫び続ける漫才を披露して、大失態を晒しています。
徳永は、自分の漫才を純真な心で貫く天才肌の神谷に、怯えつつも尊敬を寄せます。

花火大会のステージが終わった後、神谷はギャラを片手に「吞みに行けへんか?」と徳永を誘いました。
先輩付き合いに憧れていた徳永は、吞みに行くことにします。

これが徳永と神谷の出会いでした。

2人でお酒を吞んでいるとき、徳永は神谷の才能に惚れ込み、突然「弟子にして下さい」と頭を下げます。
「いいよ」と簡単に受け入れた神谷は、徳永に1つ条件を提示しました。

それは「神谷の伝記をつくる」というものでした。
それから、師弟関係となった2人は、伝記をつくるため、共に過ごす時間が増えていきます。

又吉直樹『火花』のあらすじ②:売れない芸人

花火大会の漫才から一年。

テレビでは、同世代の芸人達の一部が活躍するようになっていました。
「スパークス」は、東京で活動する中で、大きい仕事の変化はないものの、劇場の出番は少しずつ増え、お笑い雑誌で小さく取り上げられるまでになりました。

その頃、神谷から「あほんだら」の拠点を東京に移すことになったという連絡が来ます。
神谷は芸人としてのセンスが突出している反面、人間関係が不器用で、大阪での芸人界隈と大きな隔たりがあったようです。

それから、2人は「お笑い」について語り合う日々を過ごします。
お金がない2人は、神谷の同居人の真樹に金銭的にも精神的にも援助されながら、自分たちが信じるお笑いを求めて奮闘します。

又吉直樹『火花』のあらすじ③:「スパークス」の漫才

ライブで「スパークス」は、「世界の常識を覆す漫才」と称して、自分の漫才への「想い」と、ファンの方々への「感謝」を乗せた漫才を披露。
まさに、「スパークス」の集大成とも呼べる漫才です。

しかしその頃、なんと神谷が行方不明になっていました。

そのまま時は流れ、1年後に二人は再会することになります。
そのときの神谷の変わりきった姿とは…?

又吉直樹『火花』はここが面白い!

  1. 徳永の「お笑い芸人」に対する想い
  2. “お笑い芸人”の世界
  3. 「スパークス」の2人

又吉直樹『火花』はここが面白い①:徳永の「お笑い芸人」に対する想い

どんな状況でもどんな瞬間でも面白い芸人、若い女性から支持されずとも男が見て熱狂するような芸人を目指す徳永。

不純物の混ざっていない、純正の面白さを追い続ける徳永の真っ直ぐさに、人間の夢に対する強い想いを感じさせられます。

そして、徳永が理想とする面白い芸人を、体現している現実離れな神谷の突飛な言動も見どころの1つです。

又吉直樹『火花』はここが面白い②:“お笑い芸人”の世界

徳永はお金も仕事もなく、時間だけを持て余している売れない芸人です。

居酒屋で「人生」や「笑い」に神谷と語り合ったり、相方と公園でネタ合わせをしながらも、時にはぶつかり合う日々を過ごしています。
売れていく他の芸人への反発心、そして自分に対する焦燥感を感じつつ、子供の頃からの夢を追いかける徳永の姿にも注目です。

又吉直樹『火花』はここが面白い③:「スパークス」の2人

いつもよりお客さんが駆けつけてくれている会場でスパークスは漫才を披露します。
少なくとも誰かにとっての漫才師には、なれているのだと実感する徳永。

大きな拍手に包まれながら登場する2人。

「どうも、スパークスです。」 

挨拶から、漫才は幕を開けます。

小さな劇場で数多く行なってきた漫才や、相方との思い出を頭に浮かべながら、徳永は漫才を披露し続けます。

冴えない芸人である徳永の「天才になりたかった」「人を笑わせたかった」「もっと漫才をやりたい」「ずっと漫才を続けたい」という夢。

漫才中に、徳永は、自分の“気持ち”を抑えることができません。

徳永が、唾を撒き散らしながら、大声で叫び続ける漫才には、度肝を抜かれます…!

おわりに:又吉直樹『火花』の感想

『火花』を読んだ後、私は人の一生を垣間見たような気持ちになりました。

夢を追い続ける姿というのは、どうしようもなく素敵ですよね。
夢を叶えるために奮闘している皆さんは、徳永に何か通じるものを感じると思います。

「スパークス」の渾身の漫才では、涙で文字が読めなくなりました…。

又吉直樹先生が繰り広げるヒューマンドラマは、お笑い芸人ということもあり、ユーモアに溢れつつも、激しい情動に駆られるような刺激がありました。

夢を追い続ける素敵な皆さんの心を鷲掴みにする作品です。
『火花』はドラマ化も映画化もされているので、ぜひそちらも見てみて下さい!

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