「火花」で芥川賞を受賞し、一躍注目を浴びている又吉直樹先生による初の恋愛小説「劇場」。
映画化された「劇場」では俳優の山﨑賢人さんが主演を務めました!
売れない劇作家の“永田”と永田を支えたいと願う“沙希”の恋愛物語です。
又吉直樹先生は、「劇場」についてコメントを残した際に、
「恋愛というものの構造がほとんど理解できていない人間が書いた恋愛小説です。」
「恋愛がわからないからこそ、書きたかった。」
と語っていました。
しかし、又吉直樹先生の自伝も混じった本作は、恋愛のどうしようもなさが赤裸々に綴られており、皆さんが共感できる部分も多いかと思います!
ここでは、ネタバレなしで「劇場」のあらすじと感想を合わせて書いていきますので、参考にしてみて下さい!
ブログ運営者より:
この記事の本文は読書家ライター・オオサキさんに書いて頂きました!
又吉直樹『劇場』のあらすじ
又吉直樹『劇場』のあらすじ①:売れない劇作家“永田”
無名の劇団の劇作家である永田は、アルバイトをクビになり、収入がないので食費を浮かして病的に痩せています。
「幽霊」と呼ばれるような見た目をしている永田は、目的もなく東京の町を歩き、画廊の中を覗き込んでいました。
そして、同じく画廊を覗き込んでいる若い女性“沙希”を見つけます。
沙希は、女優を目指すために青森から上京してきていたのです。
永田は、いつのまにか、
「靴、同じやな」
と小さな声で沙希に話しかけていました。
沙希は、初対面である永田を警戒し怖がっていましたが、永田の容姿を見て体調が悪い人であると勘違いして、2人でカフェに入ることになります。
こうして、2人は出会いました。
又吉直樹『劇場』のあらすじ②:劇団「おろか」
一方、永田が学生時代を共に過ごした同級生の野原と旗揚げをした劇団「おろか」では、永田と野原を含めた5人の劇団員のうち、他の3人が「おろか」を脱退したいと言い出し始めていました。
「おろか」の脱退を決めた戸田と辻、青山は、元々、永田の脚本に対して不満を募らせており、最終的には永田の作る劇を全否定し、「おろか」が他の劇団からも馬鹿にされていることを告白します。
メンバー同士お互いの想いをぶちまけ合った結果、永田と同級生の野原だけが「おろか」に残ることになります。
又吉直樹『劇場』のあらすじ③:主演“沙希”
3人ものメンバーを失った「おろか」は、下北沢の公演までの時間が迫ってきていました。
そこで永田は沙希を呼び出し、脚本を渡して主演をやってほしいと頼みます。
承諾してくれた沙希は、中学から演劇をやっていただけあって演技が上手で、公演を重ねる毎に評判となり、公演の客足を伸ばしました。
公演が終わり、沙希と過ごす時間が長くなった永田は、沙希の家に転がり込むことになります。
永田は稼ぎがほとんどないので、家賃や光熱費などは全部沙希に頼り切りでした。
生活の全てを沙希に依存している自分に情けなさや葛藤を感じながらも、永田は夕方頃に起きて、演劇のことを考えて、結局何も思いつかないという日々を続けます。
沙希は、永田を養うために居酒屋と洋服屋のバイトを掛け持ちしますが、次第に体調を崩してしまいます。
結局、実家で休むことになった沙希の部屋を片付けに行った永田は、沙希に主演を頼んだ公演の脚本を見つけ出し、沙希と一緒に読み合わせを行なうことになります。
いつの間にか、台詞が脱線し、永田は自分の沙希を想う気持ちをぶつけ始めます。
こうして沙希の部屋で繰り広げられる2人の「劇」の結末とは…。
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又吉直樹『劇場』はここが面白い!
又吉直樹『劇場』はここが面白い①:現実逃避
人を避けて生きてきた人見知りの永田とは対照的に、沙希は社交的で純粋な女性として描かれています。
そんな沙希に憧れつつも、沙希に頼り切っているという事実と向き合うことが出来ない自分を呪い続ける永田の苦しさ。
自分のどうしようもないプライドを守るために、沙希に強くあたってしまう。
その苦しさから目を反らし逃げ続けることで、自分を保っている永田の、“悩み“や”弱さ“には、誰しも自分と重なってしまう部分があると思います。
又吉直樹『劇場』はここが面白い②:永田の“台詞”
沙希の部屋で、昔の脚本を読み合わせるというシーンは一番の見所です。
いつの間にか溢れ出ている永田の言葉が、延々と続きます。
本のページの見開きに隙間のないほど綴られています!
沙希に負担を背負わせ続けた後悔と、実現されることのない沙希との明るい未来を1人で語り続ける永田の、情けなくも素直な心の叫びには、心を奪われます!
おわりに:『劇場』の感想
恋愛において、「素直になれない」「どうしようもない」といった感情に悩まされた経験がある方も多いのではないでしょうか。
本作のHPでも掲載されており、作中にも登場する
「一番会いたい人に会いに行く。こんな当たり前のことが、なんでできへんかったんやろな。」
という永田の台詞と、自分が重なる部分がある方もいらっしゃるかもしれません。
不器用ながらも純粋に沙希を想う永田の気持ちは切ないですが、なんだか応援したくなりました。
人に対する気持ちを今一度確認させてくれるような作品でしたので、この記事を読んで「気になる!」と感じていただけた方は、ぜひ手に取ってみて下さい!
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