小説『美少年探偵団』のあらすじ&感想【美少年たちとミステリを】

好きな作家の一人である西尾維新さんの作品。
それもタイトルに「少年」とあるので、少年少女が活躍する物語が好きな私は発売前からこの小説を読もうと決めていました。サブタイトルの「きみだけに光輝く暗黒星」という言葉にも、興味をそそられました

どんなお話かというと、タイトル通り、5人の美少年で構成された集団・美少年探偵団が活躍する青春ミステリー小説です。
語り手は彼らに依頼を持ち込んだ少女・瞳島眉美。彼女の視点で、規格外の人物の集まりである美少年探偵団の華々しい活躍が語られます。
アニメ化もされた美少年シリーズ。その第一巻である『美少年探偵団』のあらすじと感想をお伝えします。

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この記事の本文は読書家ライター・緋衣箒さんに書いて頂きました!

小説『美少年探偵団』のあらすじ

美少年探偵団 きみだけに光かがやく暗黒星 (講談社タイガ)

小説『美少年探偵団』のあらすじ①:ガール・ミーツ・美少年探偵団

物語は語り手である瞳島眉美の独白で幕を開けます。

だからこれは、わたし、瞳島眉美が夢を諦めるまでの物語だ。

西尾維新『美少年探偵団』(講談社タイガ)より

静かで、儚さが感じられる言葉。一人の少女が夢を諦めるまでの物語が始まります。

瞳島が在学する私立指輪学園中等部で活動する謎の団体、美少年探偵団。
支持者以外からは厄介者扱いされる、その正体不明の組織に、瞳島はひょんなことから関わることになります。

瞳島が対面した美少年探偵団、その正体は5人の美少年でした。
学園の番長・袋井満。優秀すぎる生徒会長・咲口長広。生足のアイドル・足利飆太。権力者であり天才児・指輪創作。そして、瞳島を依頼人として彼らに引き合わせた美少年探偵団団長・双頭院学。

双頭院を除く4人は、学園の有名人。そんな彼らを前に、瞳島は混乱するばかりです。そもそもなぜこのような状況になったのか。瞳島と双頭院の出会いが語られます。

小説『美少年探偵団』のあらすじ②:少女は依頼人となる

瞳島はその日、校舎の屋上で星を見上げていました。
十年間、彼女は夜空を見上げ続けてきたのです。そして、その習慣はそれが最後となるはずでした。

夜空を見上げ感傷に浸っていた瞳島に声をかけてきたのが、双頭院でした。
双頭院と会話をするうちに、あるきっかけで激高した瞳島は意地悪のつもりで「探し物を手伝おう」という彼の申し出を受けるのでした。

美少年探偵団に対する瞳島の依頼は、十年前に一度だけ見た星を探してほしいというもの。
その星を十四歳の誕生日である翌日までに見つけることができなければ、宇宙飛行士になる夢を諦めると、瞳島は両親と約束しているのです。
無茶な内容であることを承知の上でそれを語った瞳島に対し、美少年探偵団は快諾します。

小説『美少年探偵団』のあらすじ③:星探しと少女の夢

美少年探偵団と瞳島が訪れたのは、瞳島が十年前の家族キャンプ中に星を見た海岸でした。

そして始まるキャンプの再現。当時の状況を現地で再現することで、瞳島が探している星を見つけ出そうという作戦です。
水遊びに砂遊び、天体観測、そしてバーベキュー。どれも美少年探偵団の手によって、当時を超えるレベルで再現されます。
瞳島は袋井に、本気で星探しをしているのかと問います。自分の夢や悩みを弄んでいるのではないかと。

その疑念を否定し、袋井はこう言うのでした。

お前の夢を一番小馬鹿にしてんのは、実はお前自身なんじゃねーのか?

西尾維新『美少年探偵団』(講談社タイガ)より

小説『美少年探偵団』のあらすじ④:少女の危機と綺羅星の行方

星を見つけることはできないまま、瞳島の十四歳の誕生日当日を迎えました。

静かに夢の終わりを迎えようとする瞳島でしたが、双頭院は「出生時刻である夕方までは瞳島は十三歳である」という論を立て、星探しを続けようと宣言します。

瞳島はいったん帰宅し、両親との約束を日没までに延長します。その後、普段通り登校しようとした彼女の瞳に映ったのは、自分を追う見知らぬ大人たちの姿でした。

なぜ瞳島は追われるのか?
彼女が十年間探し続けた星は見つかるのか。見つかったとして、その星は一体?
そして美形揃いの美少年探偵団の真価とは?

急展開を迎える少年少女の青春ミステリー。続きはぜひ、『美少年探偵団』を読んでお確かめください。

小説『美少年探偵団』はここが面白い!

『美少年探偵団』の魅力は、ミステリー小説としての面白さはもちろんですが、何といっても美少年探偵団のメンバー、そして語り手である瞳島という6人のキャラクターです。
その6人を簡単にではありますが、紹介していきます。

・瞳島眉美
物語の語り手。十年前に見た星に魅了され、宇宙飛行士になることを夢見る。しかしその夢を両親に反対され、見たはずの星を見失い、孤独を感じながら成長した卑屈で根暗な美形嫌いの少女。

・双頭院学
自分には学はない、あるのは美学だけだと言い切る「美学のマナブ」。自分を美しいと言って憚らない、限りなく高い自己肯定感の持ち主。バラバラな他の4人を団として纏めあげるほどの何かを持った少年。

・咲口長広
3年連続で生徒会長に君臨するほどの演説の才を持つ「美声のナガヒロ」。紳士的な性格だが、団員には毒を吐くこともある。ある理由により一部の団員からロリコン呼ばわりされる少年。

・袋井満
彼が調理したものは瞳島の庶民的な胃では受け付けず吐き出してしまうほどの料理の腕前を持つ「美食のミチル」。他校にまで名を轟かす不良生徒で、風刺を利かせた皮肉を言う少年。

・足利飆太
改造制服で陸上部エースの美しい生足を披露する「美脚のヒョータ」。天使級の可愛さだが、女子生徒のスカートの中身に興味津々な一面もある、無邪気な少年。

・指輪創作
海岸の砂でサグラダファミリアを作ってしまう、美術の才能にあふれた「美術のソーサク」。権力者でありながらそれを笠に着ない、無口で無表情な少年。

美少年探偵団の5人は美少年であることは基本として、それぞれ突出した能力、美点を持っています。ともすれば人間味のないキャラクターに感じてしまいそうですが、彼らはみな少年であり、どこか親近感を覚える一面を持っています。

5人が光であるとすれば瞳島は影といった印象ですが、心に重い物を抱えた十三歳の人間として描かれており、読み手として感情移入しやすいと感じました。

おわりに:小説『美少年探偵団』の感想

この小説を読み終わったとき、私はたぶん微笑んでいたと思います。ミステリーの部分はネタバレになってしまうので触れずにおくとして、子供の甘さと大人のほろ苦さの合わさった、素敵なストーリーでした。

自身の夢の象徴である星を一人孤独に探し続けた少女が迎える、タイムリミットの誕生日。これだけなら、儚くも美しい物語で幕を閉じそうです。しかしそれを魔法のように鮮やかに塗り替えたのが、美少年探偵団でした。

一人静かに大人への階段を昇ろうとしていた少女の前に現れた、きらきら輝く5人の少年。その出会いによって、少女が少しだけ、前を向くお話です。

美少年探偵団の活躍を、ぜひご覧ください。

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