「もしも、魔法が使えたら」
きっと誰しもが一度は考えたことがあるでしょう。
今回ご紹介するのは、そんな憧れからはじまる物語。
月刊モーニングtwo連載、白浜 鴎「とんがり帽子のアトリエ」です!
2018年「全国書店員が選んだおすすめコミック第1位」
米国の権威ある漫画賞「アイズナー賞」において、「最優秀アジア作品賞」受賞
など、数多くの高評価を受けるこの作品。
一方で、ネット上では、「つまらない」と評する人もチラホラ……。
今回は、そんな「つまらない」と評するレビューも踏まえた上で、「とんがり帽子のアトリエ」の魅力、どんな人におススメなのか、あらすじと感想とともにお伝えしていきます!
ブログ運営者より:
この記事の本文は読書家ライター・Ima_Meguruさんに書いて頂きました!
『とんがり帽子のアトリエ』を”つまらない”と感じる人もいるようですが…
まずはこの部分から解決していきましょう。
調べてみると、「つまらない」というレビューは主に二つの要素に基づいていました。
- ストーリーの起伏が少ない
- 主人公のキャラがいつもヘラヘラしてて、ちょっと……
……なるほどなるほど。
では、あえてこれらのレビューに絡め、それでもおススメな理由をお伝えします。
「ストーリーの起伏が少ない」→「徹底して作りこまれた、王道ファンタジー物語!」
昨今のファンタジーというと、ド派手な魔法で撃ちあったり、仲間と一緒に冒険にでるといった、派手でバトル要素の強い作品が目立ちます。
そして、『とんがり帽子のアトリエ』にはそんな要素は一切ありません。
そこにあるのは、まるで本当にその世界があるかのように精緻に作りこまれた魔法の世界。
ストーリーとしても、「魔法使いに憧れている普通の少女が、ある出来事を境に魔法使いの世界に足を踏み入れる」という王道もの。
突然異世界に行ったり、剣や魔法で戦う、といった派手なストーリー展開はありませんが……
「圧倒的な世界観にのめり込みたい!」「魔法を使うシーンのワクワクを感じたい!」
そんな漫画が好きな方には、非常におススメです!

「主人公のキャラがヘラヘラしてて……」→「主人公は、『魔法を信じている』女の子」
主人公の「ココ」は、魔法に憧れながらもその使い方をしらない、普通の女の子。
憧れているからこそ、彼女は『魔法は人を幸せにするものだ』と信じています。
この作品における「魔法」は、実は使おうと思えば誰でも使えるのです。
それゆえに、過去には良い魔法と同時におぞましい魔法がいくつも生み出されました。
作中でもいかに「魔法」が慎重に扱われているかが描写されています。
しかし、それまで普通の少女だったココは、そういったルールを知りません。
彼女が魔法使いを目指すことになるきっかけこそ、「知らなかった」ことが原因であり、ある時には仲間を危険に晒してしまうことになります。
それでも「ココ」がいつでも笑顔なのは何故なのか?
それはそういった出来事の責任は「自分」にあり「魔法」が原因とは決して考えていないからです。
だからこそ、いつでも魔法を使う場面では目を輝かせ、危ない場面そっちのけで憧れが顔に出てしまうこともあります。
見ようによっては、いつもヘラヘラしてるように見えるでしょうね。
その証拠に、魔法を使うことに喜びがある一方で、そのための努力や試練に立ち向かう姿にはどこか使命感のようなものを抱いている節もあります。
決して、「何も考えないでヘラヘラしてる女の子」ではないことをご理解いただければ……(笑)

どんな力も使い手次第。私も肝に銘じておかなきゃね。
『とんがり帽子のアトリエ』のあらすじ
小さな村に住む、仕立て屋の娘、「ココ」は魔法使いに憧れる女の子。
しかし、魔法使いになれるのは、魔法使いとして生まれた人だけ。
そんな彼女の店にある日、魔法使いである「キーフリー」が訪れます。
偶然、客の魔法の馬車が壊れた場面に居合わせたキーフリーは修理のために魔法を使います。
好奇心からその場面を覗き見したココは、キーフリーが魔法陣を描く場面を目撃します。
昔、お祭りで魔法使いから、魔法の絵本、それにオマケのペンとインクを買っていたココは、この時はじめてその使い方を知ります。
そしてその夜、ココは絵本の魔法陣をペンとインクで描いて魔法を発現させることに成功します。
しかし、その絵本にあった魔法陣は禁術とされる魔法でした。
間一髪、ココはキーフリーに救出されますが、母親が魔法に巻き込まれ、石化させていまします。
普通の人に魔法を知られた以上、記憶を消すしかないと告げるキーフリー。
しかしココが持っていた絵本は、本を売った魔法使いを追う何よりの手掛かりであり、それを暗記しているココは、貴重な存在でした。
記憶を消さない代わりに、キーフリーの弟子になったココは、母親を助けるために魔法使いの道を歩み始めます。
『とんがり帽子のアトリエ』はココが魅力!
ポイント①:圧倒的画力で魅せる!実在するかのような魔法の世界!
この作品における大きな魅力は、なんと言っても、まるで実在するかのように精緻に表現された魔法の世界です!とにかく読んでいると、あっという間にその世界に引き込まれてしまうのです!
そしてそれを実現しているのは、作者、白浜 鴎(しらはま かもめ)先生の画力でしょう。
フリーのイラストレーターとしても活動されており、「アベンジャーズ」のマーベルコミックスや、「バットマン」等で有名なDCコミックスのカバーイラストも担当されていたことのある方です。
ココやキーフリーが魔法を使うシーンや、Twitterでも一時期話題になった独特のコマ割り、「巨鱗竜(ドラゴン)」をはじめとした魔法生物。
作品で表現されている全てが、読者を魔法の世界に連れて行ってくれるかのようです。
ポイント②:ありそうでなかった、純ファンタジー物語!
私自身、ファンタジーものが好きで、漫画やアニメ・映画に小説と色々な媒体で作品を探すのですが。
「魔法使いとしての成長」。
この一点に焦点をあてた作品は、なかなか珍しいように思います。
どうしても最近のファンタジーというと、冒険であったりバトルといった他の要素とセットとなっていることが多いのですが。
- そうじゃなくて、もっと魔法を使ってワクワクを感じるシーンが見たいんだ!
- 力押しの戦いじゃなくて、知恵で危機を乗り切るところが見たい!
- 少しずつ成長していく主人公の姿を、じっくり感じたい!
そんな欲求を見事に解決してくれたのが、この作品でした。(笑)
ある意味、余計な要素を排して、純粋な魔法使い達の物語として形作られた作品。
バトルや冒険ありきのファンタジーに少し飽きてきた人には、うってつけの作品です!
おわりに。『とんがり帽子のアトリエ』の感想
ここまで、あえてマイナスのレビューにも触れながら作品を紹介してきました。
人を選ぶという作品、という点では確かにそうかもしれません。
しかし、だからこそこれまで紹介してきたポイントに「刺さる」方には、是非とも手に取ってほしい作品でもあります。
きっと驚くほどあっという間に、ココたちの世界に入り込むことができるはずです。
魔法への憧れ、そして母親を元に戻すという願いとともに、魔法使いの世界に足を踏み入れたココ。
もちろん、作中には同じアトリエの仲間たちも登場します。彼女たちは等身大で、同時にどこか危うさを秘めた「子供」として描かれています。
等しく半人前な彼女たちが、さまざまな出来事を通して「知らない」を「知り」、「できない」を「できる」ようになっていく。
作品の世界に入り込みながら、キャラクターの成長を見守ることも、この作品の楽しみ方の一つだと思います。
まるで自分もその世界にいる、そんな気分になれる魔法使い達の物語。
気になる方は是非一度、手に取ってみてください!

でもラウさんはほとんど魔法、使っていないような……?

でもココちゃんには上手く魔法を扱って欲しいわ。

綺麗なファンタジー世界で魔法と寄り添っていくココさんの物語、楽しみです!