ブラジル人作家のパウロ・コエーリョによって1988年に執筆された『アルケミスト-夢を旅した少年』という本をご存知でしょうか?
この作品は1993年にアメリカでの出版を機に世界中で熱狂的な支持を得て以来、なんと67ヶ国語にも翻訳されました。
そして過去50年の発行部数を合計したベストセラー本ランキングの堂々5位に選ばれるなど、世界中で多くの人に読まれ、今もなお愛され続けています。
なぜ本作が国境も読み手の年代も超えてこんなにも多くの人の心をつかみ、愛されているのか?今回はその魅力に迫るべく、ネタバレはしない程度にあらすじと感想を紹介します!
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この記事の本文は読書家ライター・なにわさんに書いて頂きました!
『アルケミスト-夢を旅した少年』のあらすじ
『アルケミスト-夢を旅した少年』のあらすじ①:羊飼いの少年が辿る「夢でみた場所」への旅の物語
スペインの羊飼いである少年「サンチャゴ」は、自分がピラミッドで宝物を見つけると告げられる夢をみます。
何度もくり返しみるその夢が気になったサンチャゴは”夢を解釈してくれる老女”に助言を求めます。
老女にピラミッドに行くように背中を押されたものの、まだ信じ切れないサンチャゴの前に”セイラムの王様”が偶然現れます。
『アルケミスト-夢を旅した少年』のあらすじ②:サンチャゴの旅路…
王様との会話により「人生の全てには代価が必要」ということを学んだサンチャゴは、宝物を手に入れるために自分が持っているもの全てをかけてアンダルシアからモロッコへ、そしてその後オアシスを経由して遂にエジプトへと夢のお告げを信じて旅をします。
希望を持って始めたその旅は決して楽なものではなく、この長い道中でサンチャゴは様々な苦難や試練に直面します。時には自分の弱い心に負けそうになったり、絶望してスペインへ帰ろうと思ったりもします。
しかしその時々に彼に訪れる出会いから人生の知恵や愛を学び、死を覚悟した時にも自分の心と向き合い続けることでピンチを乗り越えていきます。そしてタイトルにある”アルケミスト(錬金術師)”の導きによりサンチャゴは進み続けます。
『アルケミスト-夢を旅した少年』のあらすじ③:サンチャゴの行く末は…?
数々の困難にも負けずに前進し続ける中で「人生とは」「夢を追うこととは」「愛とは」…など多くのことを吸収し、より強く賢く成長するサンチャゴが最後に見つける答えとは一体何なのか。
果たして本当にサンチャゴが夢でみた場所に宝物はあったのでしょうか?
彼が人生と全財産を投じて踏み出した旅に意味はあったのでしょうか?
『アルケミスト-夢を旅した少年』はココがおすすめ!
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作中に散りばめられるメッセージに思わずハッとする
あらすじだけをみると”夢でみた宝物を探す”という単純な目的を達成するために旅をする主人公を軸に進められていく小説である本作は「これは冒険モノ、もしくはファンタジーなのかな?」と思われがちです。
しかし、この本には実に多くのメッセージが込められています。
そして、それらが哲学的かつ普遍的なものであることから多くの人が今も感銘を受けています。
かくいう私もその中のひとりです!
又、作者であるパウロ・コエーリョは作詞家でもあるので詩的な表現も多く含まれます。
非常にシンプルな文体であるのに(これは日本語翻訳の方の素晴らしい技量でもあるかと思いますが)これらの表現やフレーズもまた胸を打つものが多いです。
それゆえに、ただストーリーを追いかけて読むだけではなく「このメッセージをどう受け取るか」を感じながら読むと哲学的な面も見えてきてより楽しめます。
人生の節目などに改めてこの本を繰り返し読んでみると、その都度新しい発見があるのが本当に不思議です。
スピリチュアルや自己啓発が好きな方には特にこの方法がおすすめです。
胸を打つ格言が必ず見つかると思います。
エキゾチックな世界観で自分も旅している感覚に!
ヨーロッパや北アフリカが舞台なだけあって「砂漠」「オアシス」「クリスタル」「アラーの神」「錬金術」など日本で生まれ育ってきた私たちには縁遠く感じる言葉が多く登場します。
しかしこれが逆に想像力を掻き立ててくれ、まるで自分もサンチャゴと旅をしているような気持ちになってきます。
作者であるパウロ・コエーリョ自身の南米、ヨーロッパ、北アフリカの旅の経験を基にしっかりと描写された風景や人物の肌の色などが目に浮かんできてワクワクします。宗教についても多く描かれているのですが、これも日本にいたら中々出会わない考えや習慣に触れられるのでとても興味深いですよ!
個人的にはクリスタルショップとオアシスでの描写がとても好きです。
この広い世界には様々な価値観を持った多くの人間が生きていて、善悪の基準も違えば信じている宗教も違う。
話す言語も、肌の色も違う。生きている土地の風景も違う。そこに生えている木も空の色も、違う。
でも同じようにそれぞれの使命を持って人生を生きている。
旅をすることで得られるそれらの発見は自分を豊かにする。そんなことを感じられるので、旅好きな方は更に楽しめること間違いなしです。
おわりに:『アルケミスト-夢を旅した少年』の感想
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『アルケミスト-夢を旅した少年』が教えてくれる人生の極意
前述したようにこの作品には多くの教えが含まれています。
何より面白いのが、読み手の感性や年齢で感じ方が変わる点です。これはきっとこの作品の最も大きなテーマである「自分の人生(夢)を信じ、探求することを恐れないこと」がそうさせるのだと思います。
歳を重ねるにつれて、 人は一番大切な夢を追求することを怖いと感じたり、もしくは自分にはそんな実力も価値もないと考えたり、安定こそが最も幸せだから必ずしも成功するか分からない夢は諦めた方が賢明だと信じてしまったりします。
それは万が一挑戦がうまくいかず傷付いてしまうことを回避(自分を守ろうと)した結果なので、決して悪いことではありませんし、もちろん逆に心から平凡こそが幸福だと感じるからあえてそれを選ぶ人も多いと思います。
どんな選択を迫られても、錬金術師がサンチャゴに言った「おまえの宝物のある場所に、おまえの心もある」という言葉の通り、時には簡単なことではないかもしれないけれど”自分の心の声に正直である”ことが何よりも大事なのかもしれません。
なぜなら”自分で選んだことであれば後悔しない”からです。
私はこの本を20代の時に初めて読んだのですが、夢を抱きそれを追う素晴らしさや、人生で経験する全てのことは失敗も成功も決して無駄ではないことを学びました。
非凡であることを夢見て故郷を離れて海外で新生活を始めるというタイミングで読んだこともあって、サンチャゴに自分を重ねて読了後に大きな勇気をもらいました。
それ以降ずっと私の手元にある大切な一冊です。